[レビュー]
『オーラバトラー(ツクダホビー)』『ウィングキャリバー(ツクダホビー)』
今となっては、むかしむかし。 オタクという言葉がネガティブな意味で生まれる前後…。 僕らは学校で、かなりオタクなクラブを作って活動していた。 コレはそんな頃のむかし語り。 放課後となれば特別教室に集い、サイコロを転がし、ヘクス世界のつわものになった。 そんな頃のうろ覚えレビュー。
バイストンウェルの物語を憶えている者は幸せである…
古戦場を巡るうろ覚えレビューです。
聞こえますか、みなさん?
小鳥の囀り、ユニコーンのいななき、小面憎いフェラリオたちの悪態…。
いや、いいですねぇ〜♪ のどかですねぇ〜♪
海と陸との狭間…人の心のふるさと…
今日はバイストンウェルの森からお送りします。
ほら。平和な森の上空では、すでにオーラバトラーたちが剣で胴体を突っつき合ってます。
あれが有名な「中・コク・突く」なんですね〜。
今回の古戦場巡りは、『オーラバトラー』と『ウィングキャリバー』。
二本立てなので、長めのレビューになってます。
それでは、しばしのお付き合い…
あ、剣が落ちてく…
『オーラバトラー』と『ウィングキャリバー』は共に、ファンタジーロボットアニメの金字塔「聖戦士ダンバイン」のシミュレーションゲーム。
プレイヤーがオーラバトラーとウィングキャリバーという、「ダンバイン」世界の戦闘メカで闘う内容。
覚えることが比較的すくないし、扱うユニットも1つからなので、初心者向きのシミュレーションゲームだろう。
- 『オーラバトラー』は画期的だった。
『オーラバトラー』は画期的だった。
それまでは将棋のような交互行動だったのが、あらかじめシートへ行動を書き込む「シート同時行動方式」だった。
大規模な戦術級ではなく、ひとり・一機をベースにした、小規模な格闘戦。
格闘戦であるがゆえ、比較的短時間で決着がつくのもよかった。
ゲームシステムとバランス、「ダンバイン」世界とのマッチも絶妙。
- オススメはどっち?
一作目が『オーラバトラー』で、『ウィングキャリバー』はその続編である。
『オーラバトラー』は、「ダンバイン」初期のオーラバトラー(ロボット)のみでの構成。
対して続編の『ウィングキャリバー』は、「ダンバイン」全編を通しての、ほぼすべての戦闘メカで構成されている。
当然、『オーラバトラー』の全ユニットが含まれる。
「じゃ、『ウィングキャリバー』だけでよくね? 『オーラバトラー』いらなくね?」
そうだねぇ…そう思うよねぇ……
でも、それは早計。
もし、あなたが「ダンバイン」を愛している、またはゲームデザイナーを目指している、という人なら、両方の所有をオススメする。
いや、あえていうなら、『オーラバトラー』をオススメする。[1]
理由は、"数字の妙味"を教えてくれるから。
- 「聖戦士ダンバイン」はどんな作品か?
本題の"数字の妙味"を話す前に、かるく「聖戦士ダンバイン」を話そう。これはとても重要なことなんだ。
「聖戦士ダンバイン」は、剣と魔法のファンタジー世界へ「オーラバトラー」というロボットを登場させた異色かつ画期的な作品だ。
「オーラバトラー」は人型ロボットで、空中戦がメインの戦闘航空機的な戦闘メカ。
「ウィングキャリバー」は人型でない戦闘メカ。オーラバトラーの支援メカといった役回りが主。
共にパイロットの「オーラ力」で動く。
作品世界では銃火器に威力はなく、そのため剣を使ったチャンバラが主力となっている。
主人公は「ショウ・ザマ」。搭乗する機体は主人公機「ダンバイン」。※.『ウィングキャリバー』では作品後半に合わせ、「ビルバイン」になっている。
ゲームではここら辺の設定がベースであり、テーマにもなっている。
- 「シート同時行動」システム

先にいったように、あらかじめシートへ行動を書き込む「シート同時行動方式」。[2]
表組のシートは1行が1ターンになっていて、プレイヤーたちは同時に移動や攻撃を書き込む。
書き込んだら、盤上のユニットを動かし、攻撃判定を行う。
プレイヤーは現在の盤上から、相手プレイヤーの行動を予想しつつ、自分の行動を決める必要がある。
- 「オーラ力」システム

『オーラバトラー』では、「戦闘メカ(オーラバトラー)」と「パイロット」のふたつを一組にしてプレイする。
オーラバトラーは「オーラ力」をエネルギーとして動き、「オーラ力」は移動力や攻撃力に影響する。
そして、「オーラ力」はパイロットから発生する。
『オーラバトラー』では毎ターン、「オーラ力」の変動判定を行うことになる。
ターンによって「オーラ力」の強い時、弱い時の波ができ、単純なユニットの性能で強さを決められない。
ここら辺のシステムが『オーラバトラー』の面白さに直結している。
- 「戦闘」システム
格闘級らしく、ユニットであるオーラバトラーは、四肢などの部位から構成されている。
部位ごとに装甲・耐久力があって、耐久力がなくなると、その部位が破壊される。
破壊された部位によって、ユニットへの影響ができる。
例えば、頭を破壊されると視界の一部を失う、脚を破壊されるとキック攻撃ができなくなる。
また剣・格闘がテーマである為、剣・格闘の攻撃力が大きく、攻撃指定も凝っている。
「上段・中段・下段」と構えの指定、構えによって狙える箇所が制限され、攻撃方法で威力が決まる。
防御行動も「回避」だけでなく、攻撃を「剣で受ける」というのもあったりもする。
多彩なチャンバラが楽しめるシステムだ。
……なんだけどね。
撃墜判定となるのが、胴体、コクピット、オーラコンバーターの三ヶ所。その内のどれかを破壊すれば撃墜。それ以外では撃墜にはならない。
最大の弱点・オーラコンバーター[3]は背面からしか狙えない。
どの面からでも攻撃可能なのが、胴体。コクピットは正面・側面からのみだが、背面では胴体指定として判定される。
攻撃力が最も強いのは、「剣で突く」。
で、導き出される解はひとつ。
「中・コク・突く」(中段の構え、コクピットを、突く)
まあ、ワンパターンに、行動シートへ羅列することになるワケ。
想像すると「フェンシングのような〜」というのも、ちと違う。
フェンシングにも受け・流しというものはある。
ところが『オーラバトラー』は「受ける」と攻撃できない。ゆえに「受け」はしない。
なので正確に想像すると…
「互いに胴体を突っつき合う」
華麗なチャンバラにはほど遠い…。(^_^;
ココはまあ、ご愛嬌といったところだね。(笑)
- テーブルトークっぽい要素
行動シートには「MEMO」という、空白のスペースが用意されている。
ココがテーブルトークっぽい要素で。
例えば、「剣を持ち替え」たり、落とした「剣を拾った」り。
コクピットを破損されると、正面が見えなくなる。そこで「コクピットを開く」で、正面視界を確保する。
フレキシブルな欄なので、無意味にコクピットを開け閉めしたり、「コーラを飲む」なんておふざけなことを書いたりも。
ゲーム自体からは外れるけれど、楽しい要素だった。
- "数字の妙味"
さて。ちょっと横道にそれたので、本筋、"数字の妙味"へ。
先のように「オーラ力」によって「オーラバトラー」の能力が増減される。
その源流は「パイロット」の変動する「オーラ力」である。
もうちょっと詳しくいうと…。
オーラバトラーのパワーは、アルファベットでランク付けされていて、Aランクが最高となっている。
そしてオーラバトラーによって最大値が制限されている。
具体例でいおう。
ゲーム開始時のパワー・ランクは↓こう。
- 強敵・レプラカーン…Aランク
- 主人公機・ダンバイン…Bランク
そして、パワー制限は↓こう。
- 強敵・レプラカーン…Bランク
- 主人公機・ダンバイン…∞
つまり、「オーラ力」の変動があると、レプラカーンはAランクになれない。
対して、ダンバインはAランクになれる。
……でも、そう単純ではない。
ランクの元は、パイロットの「オーラ力」。その最大値はパイロットによって異なる。
そして、主人公機「ダンバイン」をAランクにできるのは、主人公「ショウ・ザマ」だけ。
正に主人公の面目躍如。
"数字の妙味"はここから。
「ショウ・ザマ」で「ダンバイン」をAランクにするにはどうするか。
オーラ力判定で、サイコロ「6」を出す
特別ルールで明記しているワケでなく、他パイロットと同じ。自然に判定表へ溶け込ませているんだ。
これを判定表から見つけた時は、万有引力を発見したかの気分だったよ!
「主人公が主人公機に乗る理由をちゃんと作っている」[4]
キャラクターゲームといえば、キャラ人気だけを借りてるイメージがあったので、とても新鮮な発見だった。
以来、キャラクターゲームといえば、判定表とにらめっこしてチェックするクセがついた。
残念ながら、次作『ウィングキャリバー』ではここら辺がなくなってしまった。
「主人公」という特徴はなくなり、強いパイロットであれば、誰でもAランクにできるようになってしまったんだ。
まぁ、元ネタ作品自体、後半は「強さのインフレ」ができてしまったので、仕方ないといえば仕方がない…。[5]
そういったワケで、『オーラバトラー』がオススメ。
とはいえ、『ウィングキャリバー』ではユニットが増えてるし[6]、両方あるのがベターだね♪
ゲーム内容からちょっと外れるけど、パッケージも『オーラバトラー』の方が好き。
ダンバインの外殻にね、職人さんがトンテンカン…と叩いて作ったような"いびつな丸み"があってね、絵の向こうにオーラバトラーを作ったドワーフが見えるようで好きなんですよ。[7]
パッケージを描いた高荷義之さんを意識したのも『オーラバトラー』からで、すぐにファンになりました。
後年、同僚となったO8氏が、自分のゲームのパッケージを描いてもらったらしく、とても羨ましかった。しかも商材で使ったあとに譲って貰ったと聞いて血涙が出そうだった。(笑)
そのうち自分も…と思ってたけど、メカものから道をたがえてしまったなぁ。
- 「チャム・ファウ」ユニット

「チャム・ファウ」は「聖戦士ダンバイン」に出てくる妖精。
マスコット的な役回りで、とても人気があった。
『オーラバトラー』にもユニットとして入っている。
入っているけど、なにか能力があるワケではない。
ただ「一緒に乗せられる」…それだけ。
それだけだけど、「チャム・ファウ」ユニットの取り合いになった。(笑)
実は、ちょっとしたジンクスがあって…
「チャムが一緒だと、攻撃が当たりやすい」
実際、僕は「マーベル&ダンバイン&チャム」の組み合わせだと、ココぞという時にサイコロの目がよかったり、勝つことも多かった(気がする)。
決して「役立たずユニット」ではないんですよ。(笑)
ちなみに『ウィングキャリバー』では、シーラ様付きの「エル・フィノ」が追加されている。
こちらも取り合いになった。(笑)
- 類似ゲーム
『オーラバトラー』は相当、売れ行きがよかったのだろう。[8]以後のツクダ・キャラクターゲームを一変させた。
それまでは交互行動の戦術級ばかりだったのが、シート同時行動方式の格闘級がメインとなった。
それほどまでに『オーラバトラー』は画期的で傑作中の傑作な作品だった。
しかし『オーラバトラー』以降、"数字の妙味"的なものはなく、「パイロット」ユニットもお飾りになった。元ネタ作品らしさも薄れていった気がする。
ついでに。
記憶しているだけで、シート方式は以下がある。
- 『ヘビーメタル』(重戦機エルガイム)
- 『エルガイム マーク2』(重戦機エルガイム)
- 『ドッグファイト』(超時空要塞マクロス)
- 『オーガロイド』(超時空世紀オーガス)
- 『ラウンドバーニアン』(銀河漂流バイファム)
『ヘビーメタル』は「オーラ力」の代わりに、毎ターン、「エネルギー生成」があり、貯めたエネルギーを各部に割り振り、移動力・攻撃力を増幅できるシステム。ファティマの忙しさを体験できる(笑)。
計画的にエネルギーを運用するのがキモで、僕は苦手。「エルガイム」が好きな人には良いかもしれない。「リリス・ファウ」ユニットもあるし。(笑)
『ドッグファイト』は、「慣性移動」のシステムが特徴。宇宙戦闘っぽいんだど、みんなには不評だった覚え。複雑な移動が馴染めなかったみたい。
初めての無重力体験にアワアワしてるみんなを、なんとかかんとか攻撃してたような記憶。
Wikipedia に「『AirWar 空戦マッハの戦い』をベースに…」との記述があるが、これは全くの誤り。『AirWar…』はターン・フェイズ方式の交互行動だし、共通点は「慣性・高度」ぐらいで、それもゲームにヘックスがある程度の要素。ライナーノートの記述は知らないが、とても「ベースに…」とは言えない。
『オーガロイド』は、プレイした覚えはあるんだけど、特徴を思い出せない。『オーガス』のゲームはどれも微妙なデキだった気が…。
『ラウンドバーニアン』も「慣性移動」だったかな? 元ネタ通りに複座の機体があって、かなり優位だった気がする。このテのアニメ、ゲームで複座があるのは珍しいね。
「パイロット」に「ノービス」、「ベテラン」みたいな級位(?)があったかな? 航空機モノではお馴染みだけど、アニメ系だとこれも珍しいか。
- 総評
そういえば。
自分の「オーラ力」でプレイ、なんてコトもしたっけ。
パイロット・ユニットの「オーラ力」の最大値が"6"だったので、サイコロ1個を振って決めたんだ。
『オーラバトラー』は「MEMO」の件も含め、ちょっとしたアレンジができ、接近格闘がメインとあって盤上のイメージが想像しやすい。
初心者にもとっつきやすく、ゲームとしても、キャラクター物としても完成度が高い、傑作中の傑作だ。
当時の僕らは、放課後となれば『オーラバトラー』『ウィングキャリバー』で聖戦士となり、休日に集まっては両ゲームに興じた。
おかげさまで僕は、ゲームを作るとなると必ず念頭に浮かぶ。
ジャンルやメディアが違えど、バランス、テーマの捉え方、判定数値の作りは、師と呼べるほどにお手本となる。
ゲームを作りたい、そう思う人には一度はプレイしてもらいたい。
- [1]決して、後から出た『ウィングキャリバー』が買えなくてくやしい、というコトじゃないよ?うん。いまはヤフオクで買ったのがあるし。
- [2]シートは消耗品、1ゲーム1人1枚を消費する。クラブにかこつけて、学校の印刷機で大量複製したっけ。
- [3]装甲が弱く、破壊しやすい。エネルギー変換不能となり、即撃墜…
- [4]でも僕は、ヒロインの「マーベル」&「ダンバイン」でプレイしてたけどね(笑)
- [5]「聖戦士ダンバイン」がおもしろいのは「東京上空」まで、といわれる所以のひとつ。
- [6]「ガラバ」が好きなのです。
- [7]作品設定では「巨大昆虫の外殻を利用している」んだけど。(^_^;
- [8]仲間内でも半数近くが持っていた









お知らせ
拙作 『みみっく★ぱにっく』 を、秋葉原のレンタルショーケースにて、少量販売しています。
ご興味ありましたら、よろしくお願いします。m(_ _)m
【セット内容】
【アクセス】